瀬戸内寂聴『場所』を読む

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瀬戸内寂聴の本は今年になってから幾冊か読んだが、どれもすごく良かった。

下の写真は『美は乱調にあり』は伊藤野枝について書かれたものです。

これを読むまでに僕は村山由佳の『風よ、あらしよ』を読んで衝撃を受けて、伊藤野枝に興味を持ち、その関連の書籍を読み漁りました。

その中で、瀬戸内寂聴の書いたものにたどり着きました。

瀬戸内寂聴については、ずっと彼女の書いたものを何か読んでみたいと思っていたけど、なんとなくどこから入ったらいいかわからず長い間、読むことのなかった作家です。

『源氏物語』も瀬戸内寂聴版を読むか、角田光代版を読むか、どうか迷っているくらいでした。

伊藤野枝をきっかけに瀬戸内寂聴の作品を読みはじめてから、すっかりファンになってしまいました。

そんな彼女の膨大な作品群の中かから、たった一冊、選ぶのは難しいですが、誰かに瀬戸内寂聴の本でおすすめを聞かれたら『場所』と答えると思う。

『場所』という作品は、彼女がこれまで住んだ街を再び訪れて回想する小説だけどとても面白い。

そして当然のことなんだけど、物凄く文章が上手い。

僕が好きなのは次の箇所だ。

「五十嵐というラーメン屋の女主人は、小股の切れ上がった美人で、片方の目が軽い斜視なのが、妙な色気を放っていた」(瀬戸内寂聴『場所』

この箇所を読んだとき僕はひっくり返って、しばらく家の天井を見ていた。

それから何度もこの箇所を繰り返して読み込んだ。

何か大事なことを言い当てる表現がこれだと思う。

著:寂聴, 瀬戸内
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