『ティファニーで朝食を』を久しぶりに読み返した。
ホリー・ゴライトリーという登場人物を生み出したトルーマン・カポーティは天才だと思う。
僕にとって文章のうまさというのは、女の人を書けるか書けないかの基準しかない。
漱石の里見美禰子を読んだ時なんか、もう就職しようかと思った。
それぐらい文章のことと女の人のことしか考えていない20代30代を過ごしてきた。
40代のことはわからない。
何も始まっていないし、何も終わっていない。
夏がようやく終わり、秋がまためぐってこようとする最後の何週間のことは、ずいぶんおぼろげにしか思い出せない。人と人との気持ちが深いところで穏やかに通うじ合うと、しばしば言葉でよりは沈黙を通して、多くを理解し合えるようになるものだが、ホリーと僕もそのような段階に達していたのだろう。
『ティファニーで朝食を』より僕が一番好きな箇所
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