寝ないで、起きている父に早く寝るように、促すと「何か食べたい」というので、あんパンを見せると、ラーメンか、蕎麦が食いたいというので、スパゲティでええかと茹でる前の麺を見せると、「なんでもいい」と言う。
それでは、ということで、いつも一人で食べている夜食を今日は二人分作った。
ニンニクとハムとチーズのスパゲティ。
旨味だけの一品である。
なんやかんややっていると、寝ていた母も起きてきたので、父と僕の二人分の皿から少しずつとって、一皿子供用のスパゲティも作って、夜中に3人でテーブルを囲んだ。
「うまいうまい」と二人。
いつものこと。
僕はメモをとって「明日は休みなので、ゆっくり寝るので9時まで寝ていてください」と書いた。
それからしばらくしたら二人とも床についたようだ。
食べることばかり考えている。
というか、ずっと何か作っている。
職場でも大量の野菜と格闘して、大きな鍋に全体重を預けている。
食べることが大事だとひしひしと感じる。
ほんとに。
簡単にコンビニおにぎりとか、マックとか。
カップラーメンとか。
この暮らしにはない。
ちゃんと全部、作る。
最近、リリー・フランキーの『東京タワー』のことをよく思う。
リリーさんのお母さんもいつも息子のお腹がすいてないか心配していた。
僕の母もいつも僕におかなすいてないか聞いてくれる。
そして、
「なんかしたろか?」
という。
でもいつもなんか作るのは僕だ。
僕はその気持ちだけで嬉しい。
今日もしっかり歩いた。
母と買い物に行った。
刺身のブロックを買い、母が綺麗に盛り付けてくれた。
蓮根の皮を剥いて、輪切りにしてくれたので、その先を僕が引き継いだ。
この時間がいつか僕の宝物になるだろう。
わかっている時点で僕は幸福だ。
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