ヘミングウェイは『日はまた昇る』が最高傑作です
『日はまた昇る』はずっと面白かったという読後感しかなくて、どういう話か覚えてなかったんだが、今回、読み返して、これは恋愛小説だと思って、だから好きだったのがわかった。
そして、こないだから読んでいる小説が全部、同じ傾向の恋愛小説だということに気づいた。
『ティファニー』も『三四郎』も主人公と相手の女性との精神的な結びつきは強いのに、女性の方は誰かの妻であったり、恋人であったりする。
『日はまた昇る』のジェイクとブレットもまた結びつくことなく最良のパートナーと認め合う。
「女はいい友達になる。実にすばらしい友達になる。なにしろ、恋焦がれることが友情を築くための第一歩だ。その意味で私はずっとブレットと友達でいた」(『日はまた昇る』ヘミングウェイ)
18年ぐらい前に読んだ時に、付箋を貼ってある箇所が、今回の新訳で読んでもやはり一番素晴らしかったので、自分の為に、書き写すことにした。
名文とはこういうことをいうのだ。
自分が目指すのはこういう物語だとずっと考えている。
夏目漱石は『三四郎』が最高傑作です
そして今日から『それから』を読み始めた。
漱石の悩みが少しずつ深みに入る作品。
これを最後に漱石はもう『三四郎』のような快活さを取り戻すことはない。
しかし『それから』『門』『こころ』と続く深い深い水たまりの中へ沈んでいくことを僕らはやめられない。
読者はこちらへ戻って来れるけど、作者はあちらへ行ったきりになるという怖さを僕はまだ知らない。
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