宗教と友達

大学を出たすぐの4月、ちょうど今頃、僕は身分証明書も欲しいし、バイトもしてなかったので、兄貴に金を出してもらって自動車学校に通い始めて、国立に住んでいた僕は、金もないのに、国立から西荻窪までの定期を買った。

西荻窪には友達が住んでいて、毎日、自動車学校が終わると、西荻窪に遊びに行っていた。

その頃、友達はレコードを持っていて、僕はそのコレクションのレコードが聴きたくて、遊びに行っていた。

周りは社会人になったばかりだったけど、西荻窪の友達(三人?)はみんな社会人じゃなかった。

もちろん、焦りもあったのだろう、彼らの家にはフロム・エーが常にあった。

僕は気に入った部分をキリとって持って帰ったりしていたけど、そんなもんキリとって持って帰っても、遅いだろうと今では思うが、昔はのんびりしていたのだ。

不思議なもので、その頃、友人の一人が新興宗教の集まりに通いだして、僕もときどき誘われて、道場というか寺というか、そういう場所へ何度か顔を出すようになっていた。

大丈夫なのかと思ったけど、あまった弁当とかもらえるので、僕らは軽い気持ちで参加していた。

それにその頃は、わりと友達が大事で、厭がっている友達を入信させるわけにもいかないというオトコギもあった。

一回、二回ほど付きあっただろうか、今度、富士山の総本山へ早朝に行くけど、一緒に来ないか? と誘われた。

でも僕は朝が早いのは無理だからと断った。

その友達も仏壇を買わされそうになったところで、ぜんぜん金を持っていなかったから買えなくて、入信することなく、それが原因で(他にも原因があったけど笑)西荻窪が居づらくなって、しばらくしてから引っ越してしまった。

僕もその四月の終わり頃、免許がとれて、定期が切れてから、あまり西荻窪に行かなくなった。

それに、その頃から新しいアルバイトが決まって、忙しくなっていた。

いい思い出話だけど、当時はそれなりに切実な問題だった。

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この記事を書いた人

三重県生まれ。現在は給食調理員をしながら両親と3人で暮らしています。趣味の読書と音楽鑑賞に加えて、自分でも様々なものを書いています。

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