雨の季節が始まった。
雨の間はいつもより思慮深くなる。
生協で新しい傘を買った。
安物だけど、久しぶりに新しい傘で、嬉しい。
物に魂があるとしたら、それを僕が感じるかいなかで、僕は人一倍、物を大切にすることができる。
しかし、それが長所であり、欠点でもある。
それを長くとどめることで、思いを断ちきれなくなるからだ。
物事には必ず両面あることを、忘れていけない。
本はいいものだと教えられるが、あるポイントを過ぎると本は毒にもなる。
栄光の陰に挫折あり。
ピンチの後にチャンスあり。
おごれるものも久しからず。
いいことがあった後には、必ず悪いことがあるというのも一つで、誰かが幸せな時は、必ず誰かが不幸になる。
雨に打たれている間、どれだけ思慮深く目を閉じることができるか。
今日、僕は昼間、生協でパンを買ったときに売り場にあった傘を見て、なんとなく、「そんな気」がしたので、長いこと使っている傘があったんだけど、新しい傘を買うことにした。
長い雨を堪え凌ぐアイテムとして、思い付きで買いかえた安物の傘。
堪えがたきを堪え、凌ぎ難きを凌ぐ。
雨の音に注意深く耳を傾けながら、季節の記憶を辿る。
ノラ・ジョーンズの1枚目と2枚目のアルバムが梅雨には効く。
激しい雨が降っているが、雨はきっとやんで、新しい朝が来る。
ジョン・ダワーの敗北を抱きしめて、という本のタイトルを思い出したんだけど、まさに今夜はそんな感じだ。
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