『三四郎』のヒロインに里見美禰子(みねこ)という人が出てくるんだけど、漱石はこの人をとても上手に描いていて、学生時代の僕は本を読みながらため息をついたものだけど、それは同時に里見美禰子のような人が僕が好きだったからかもしれない。
ただ、最近、再読をしていると、美禰子を取り巻く環境において、以前は必ず僕は小川三四郎になりきるところを、あまり感情移入できなくなっていることに最近、気付いた。
もちろんそれを差し引いても『三四郎』は抜群に面白いんだけど。
同じことをこないだのジブリのアニメ『海がきこえる』でも言えて、僕はヒロインの武藤里伽子がとても好きで、都会の女の人に一時期、理想を抱いていたけど、こないだの再放送を見て、ある部分はああいう勝気な女の人の新鮮さというものが薄れているような気がしている。
勝手な言い分だけど。
そうして最後に僕が学生時代に読んだ本の中で、最も好きな本だけど、実は二人のヒロインにはあまり好意を持てなかった作品『ノルウェイの森』の小林緑にとても惹かれている。
ああ、そうかああいう生命力のある女の人が今は好きなのかと日々感じている。
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