スナフキンに憧れて

いつも座っている椅子が去年の秋に壊れて、冬は丸々、コタツの中で過ごしたけど、コタツを仕舞うといよいよ、椅子を新調せざるを得ない。

夏に椅子で本読めなくなったらキツイからなあ。

まずピンと背筋を伸ばして、次に足を組んで腹の上らへんで読んで、それから片足を椅子の上にあげて、その膝の上に本を持った肘をのせる。

という感じで、フローリングになだれ込んで、いつの間にか寝そべって夢の中というのが、夏の午後の過ごし方の定番だったりするから。

連休中にテレビでムーミンがやっていたから、見ていたんだけど、そこでもスナフキンはやっぱいいこと言っていた。

冬眠でしばしの別れを惜しむムーミンにハーモニカを渡して、

「これを置いていくよ」とスナフキンは言った。

「でも、これは君のとても大切なものじゃないか」とムーミンが恐縮すると、

「だから置いて行くのさ」とスナフキンが言った。

僕は歳を重ねるにつれてスナフキンのような生き方に憧れる。

もっともスナフキンはヴィジュアル的にもカッコいいから勝ち目はないが。

これは昔のアニメの再放送だったんだけど、昔の子供は高尚なアニメをみていたんだなと思ったのと同時に、昔からアニメとかバラエティは高尚な一面をもっていても、けっして剣を抜かずに、柄に手をかけたままで、逆に高尚とされているもののくだらなさを笑っていたんだ。

今でもそうだけど。

とりあえずこないだ見て来たやさしい海が僕のこころの中に大きな泉となって、夏まで涸れずに暮らせたらいいな。

海と風の物語に僕は生かされていることを忘れずにいたい。

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この記事を書いた人

三重県生まれ。現在は給食調理員をしながら両親と3人で暮らしています。趣味の読書と音楽鑑賞に加えて、自分でも様々なものを書いています。

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