父との思い出

なにかを肯定すれば、嘘くさいし、なにかを批評すればうるさいし、なにも言わないほうが随分、気分がいい。

昼の休憩によく立ち寄る日本庭園で思うんだ。

小鳥のさえずり、水流れる音、草いきれ、土の匂い、そういうもののよさをわかるような大人になったな。

そうして、そういう大人のほとんどがそうであるように、あまり社会では役に立っていない。

父は、休みの日にというか、それは僕の学校の休みの日なんだけど、車でいろんなところへ連れていってくれた。

山から落ちて来る水をダイレクトに飲みに行こうとか、ヤズさんという大木を周りを手で回して届くかどうか見に行こうとか、今思えば父は僕といたら仕事を忘れられるからだったんだと思う。

学校から帰るといつも家に父がいて、「おう、お帰り」と言われていた少年が今、そのまま大人になってしまった感がある。

間違いなく現在は、過去の連続の中にあると思うこの頃、僕にもある種の不安はなくはない。

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この記事を書いた人

三重県生まれ。現在は給食調理員をしながら両親と3人で暮らしています。趣味の読書と音楽鑑賞に加えて、自分でも様々なものを書いています。

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